無花果の葉の香りは、果実の甘さとは全く異なります。葉を手でこすったときの青くてわずかに苦い匂い。あの感覚を香水に閉じ込めるのが、フィグリーフ・アブソリュートです。夏の調香に使われる理由と、扱いの難しさを説明します。

フィグリーフの香りの特徴

無花果の葉の香りは、グリーンノートの中でも特に複雑な部類に入ります。青さ、苦み、わずかな乳っぽさ、そして奥に果実の甘みが潜んでいます。この複雑さが、単純なグリーンノートとは異なる深みを生みます。産地によって香りの印象が変わり、シチリア産は青みが強く、トスカーナ産はより甘い傾向があります。

なぜ夏の調香に向いているのか

フィグリーフの青さは、夏の強い日差しの中でも重くなりません。ムスクやウッドが主体の香りは夏の暑さの中で重く感じることがありますが、グリーンノートは揮発性が高く、涼しさを感じさせます。「Figuier Gris」でフィグリーフをトップに置いたのは、最初に青さと涼しさを感じてほしかったからです。

扱いの難しさ

フィグリーフ・アブソリュートは、配合量の調整が難しい素材です。少なすぎると存在感がなくなり、多すぎると青臭くなります。「Figuier Gris」の最初の試作では多すぎて、「草の匂いがする」と言われました。最終的に全体の4.5%に落ち着きましたが、この数字を見つけるのに8回の試作が必要でした。

ガルバナムとの組み合わせ

「Figuier Gris」ではフィグリーフにガルバナムを合わせています。ガルバナムはセリ科の植物から得られる樹脂で、鋭いグリーンノートを持ちます。フィグリーフの柔らかい青さにガルバナムの鋭さを加えることで、無花果の木の下に立ったときの、葉と幹と空気が混在する感覚に近づきます。

フィグリーフは毎年少しずつ香りが変わります。今年のシチリア産は青みが強く、ガルバナムの比率を調整しました。その変化も含めて、このフォーミュラの一部だと思っています。