ウッディ系の香料は産地によって香りの印象が大きく変わります。「Pierre Sèche」で使用しているハイチ産ヴェティヴェールとバージニア産シダーウッドを選んだ理由と、他の産地との違いを説明します。

ヴェティヴェール:ハイチ産とジャワ産の違い

ヴェティヴェールはイネ科の植物の根から得られる香料です。ハイチ産は土っぽく、スモーキーで、わずかにレモンのような酸味があります。ジャワ産はよりスモーキーで重く、インドネシア産はより甘い傾向があります。「Pierre Sèche」に使っているハイチ産は、土と煙のバランスが「夏の終わりの石の匂い」というコンセプトに最も近かったため選びました。

シダーウッド:バージニア産とアトラス産の違い

バージニア産シダーウッドは、鉛筆の木の匂いとして知られる乾いた木の香りです。アトラス産(モロッコ産)はよりクリーミーで甘く、バルサムに近い印象があります。「Pierre Sèche」では乾燥した石の質感を出したかったため、クリーミーさのないバージニア産を選びました。アトラス産は別のフォーミュラで使う予定があります。

産地を固定することの意味

同じ「ヴェティヴェール」でも産地が変わると、フォーミュラ全体のバランスが崩れます。一度産地を決めたら、仕入れ先が変わらない限り変更しません。ただし農業は毎年同じではないため、同じ産地でも年によって微妙に香りが変わります。その変化を把握するために、毎年サンプルを取り寄せて確認しています。

ビスポーク調香での素材選び

ビスポーク調香のセッションでは、同じ素材の異なる産地のサンプルを嗅いでいただくことがあります。「ヴェティヴェールが好き」と言っても、ハイチ産が好きなのかジャワ産が好きなのかで、フォーミュラの方向性が変わります。産地の違いを体験することで、自分の好みをより具体的に言語化できます。

産地の選択は、フォーミュラの個性を決める最初の判断です。一度決めたら変えない。それがフォーミュラの一貫性を保つ方法です。